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仮想空間先手争いどうなるのか?

閣議決定した統合イノベーション戦略 2020とは??

1.基本的考え方
2020 年の年明けより世界的に感染が広がった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、第二次世界大戦以降で最も困難な危機ともいわれる大規模な感染症 1となり、現在も世界各国が総力を挙げてその終息と、再度の感染拡大を防止するためのニュー・ノーマルとも言われる新たな日常の確立を目指している。市民の健康を守ることが最優先事項であり、そのために、各国は様々な施策を導入したが、他方で、世界各地で行われたロックダウンや移動・通勤の制限などは、物理的な距離だけでなく、精神的・心理的にも人々に社会の「分断」を印象付けた。また、この1年、世界規模でいくつもの異常気象と大規模災害が発生した。これらにより、多くの人命が失われ、被害に遭われた多くの方が長期間にわたり不便な生活を余儀なくされた。さらに、米中を中心とする各国の覇権争いの中核がイノベーションに大きくシフトし、各国企業・政府間で技術覇権争いが激化しているほか、海外大手ITプラットフォームの台頭やそれに対する各国政府の規制に向けた動き、踊り場に差し掛かったベンチャー投資環境、SDGsを意識した企業行動の変化など、イノベーションをめぐっては、大きな情勢変化があった。このような情勢変化は、これまでの延長線でない、前例のない非連続な変化と言える。
世界の様々な危機的課題に人類が打ち勝ち、適応していくためには、私たちの社会自身が強い危機感とスピード感を持って大胆に変化する必要がある。とりわけ、感染症に対して強い社会を作りつつ、人々のつながりを今一度取り戻し、社会の「連帯」を再形成することが喫緊の課題である。我が国が第5期科学技術基本計画(以下「第5期基本計画」という。)で提唱した“Society5.0”は、サイバー空間とリアル空間の融合によって持続的かつ強靱な「人間中心の社会」を創り上げるとともに、科学技術とそれがもたらすイノベーションの力によって、我々が直面する難局や迫りくる社会的課題を乗り越え成長につなげ、誰一人も取り残されないように、新たな形で人々がつながっていく、そのような社会を創造する活動である。今まさに、“Society 5.0”の理念が改めて重要となっている。
一方で、我が国では、この1年の情勢変化は、我が国のデジタル化の遅れ、世界に先駆けて提唱した Society 5.0 の実現への遅れを改めて認識させるものとなった。特に、新型コロナウイルス感染症対策では、デジタル化・IT化の遅れが、感染防止と企業活動、社会活動の両立の足枷となった。
そこで、「統合イノベーション戦略 2020」では、第Ⅰ部において、この1年の国内外の情勢変化を分析し、Society 5.0 の実現に向けて、科学技術・イノベーション政策として重点的に取り組むべき課題を整理する。第Ⅱ部では、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症に起因する難局に対応するために、科学技術・イノベーション政策として取り組むべき政策を特記する。第Ⅲ部では、第5期基本計画やこれまでの統合イノベーション戦略(以下「統合戦略」という。)に盛り込まれた目標や施策について、着実にPDCAサイクルを回すこととし、関連施策の実施状況の確認と改善方向の提示を行う。
科学技術基本法 2が制定された 1995 年以降、AIやIoT、生命科学など、近年の科学技術・イノベーションの急速な進展により、人間や社会の在り方と科学技術・イノベーションとの関係が密接不可分なものとなっており、人間や社会への深い洞察に基づく科学技術・イノベーションの総合的な振興が必要となっている。このような情勢変化に鑑み、第201 回国会にて、科学技術基本法を 25 年ぶりに本格的に改正するための法律が成立し、
公布された。改正科学技術基本法(科学技術・イノベーション基本法)では、現代の複雑化する諸課題に対峙していくためには、人文・社会科学(科学技術・イノベーション基本法では「人文科学」とされているが同じ意味である。)が積極的に役割を果たすことが重要になってくること等から、人文・社会科学のみに係る科学技術を振興対象に追加するとともに、「イノベーションの創出」について、これまで「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律 3」に規定されていた定義を見直した上で、科学技術・イノベーション基本法に新たな概念として導入した 。具体的には、イノベーション創出に至る具体的な手段として、従来の新商品又は新役務の開発などの企業活動を念頭に置いたものに加え、科学的な発見又は発明といった創造的活動についても規定し、「イノベーションの創出」が多様な主体が関与し得る幅広い概念であることを明確化した。統合戦略 2020 は、全般において、この改正を踏まえたものとしている。2020 年度は第5期基本計画の最終年度である。2020 年度に策定される科学技術・イノベーション基本計画(以下「次期基本計画」という。)は、科学技術・イノベーション基本法の下、初めて策定される国の新たな中期計画となる。現下の情勢に鑑み、新たな中期計画では、我が国の社会構造改革の大幅な遅れを取り戻すとともに、人類の社会福祉(humanwell-being)の抜本的向上に向けた、世界をリードする真の“Society 5.0”の実現が求められる。

【詳細はこちら】
https://www8.cao.go.jp/cstp/togo2020_honbun.pdf
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